3Dプリンターは、航空機器の試作にも活用されています。複雑な形状や軽量化を実現できます。ここでは、航空機器の試作に3Dプリンターが活用される理由や試作事例を紹介します。
航空機器の試作において3Dプリンターが注目される理由は、その効率性と柔軟性にあります。3Dプリンターを使用することで、複雑な形状の部品を短時間で製造でき、従来の工法と比べて大幅に開発期間を短縮することが可能です。また、小ロット生産や一点ものの部品製造に適していて、金型などのイニシャルコストが不要なので、コスト削減にも貢献します。
3Dプリンターは設計の最適化にも役立ちます。コンピュータ解析を基にした設計を採用し、トポロジー最適化やジェネレーティブデザインなどの技術を用いて、従来の工法では困難だった最適化された形状で作成できます。部品の軽量化や強度向上が可能となり、燃費改善や性能向上につながります。
加えて、3Dプリンターは材料の無駄を最小限に抑えられるので、高価な航空機用素材の使用量を削減できます。航空機器の試作における3Dプリンターの活用は、効率的な開発プロセスと革新的な設計の実現に大きく貢献しています。
Boeing社は787ドリームライナーにおいて、ノルウェーのノシュク・チタニウムが製造した3Dプリンターを用いたチタン製部品を採用しました。この部品は、飛行中の圧力に耐えるよう設計されていて、金属3Dプリンターを使用した航空機部品としては初めてFAAの認証を取得しています。1機あたり 200万から300万ドルのコスト削減が見込まれ、チタン合金の高コストを大幅に軽減できました。
A&M Tool and Designは航空宇宙用部品の試作に3Dプリンターを活用しています。特にフィット感と機能性を迅速に検証するために、Formlabsの3Dプリンターを導入しました。部品の作製時間が大幅に短縮され、夜間にプリントした部品を翌日には使用できる状態にできます。従来のCNC加工では時間とコストがかかる部品も、3Dプリンターによって効率的に製造されることで、開発プロセスが大幅に改善されています。
2017年にエティハド航空は、プラスチック製のモニターフレームを3Dプリントし、航空業界で初めての認定を受けました。この取り組みにより、部品の軽量化とともにカスタマイズできるようになり、修理や交換の効率も向上しました。さらに、Diehl AviationはエアバスA350 XWB用に3D印刷されたカーテンヘッダーを開発し、製造コストを大幅に削減しています。
【目的別】商品開発・
製造を加速する
おすすめ業務用
3Dプリンター3選を見る
製造の目的・工程に合った3Dプリンターを導入することで、コスト短縮や納期短縮、生産性の向上といったメリットが得られるでしょう。ここでは、目的別におすすめの業務用3Dプリンターをご紹介します。
高精度造形で、温度差による歪みや反りもなく、現場での設備や治具作成に最適。高コストかつ複雑な自動車・電子製品の製造工程で、確実・迅速な現場改善や、組立性向上も実現。
日用品・食品など消費材の大量生産にも長く耐えられる主力複合基材をラインアップ。金属に代わる強度性能を持つ治具を製造・使用できるようになり、交換効率を向上できる。
大型部品の製造工程で必要とされるような、構成する部品点数が多い大型治具を軽量化し、一括造形することで、生産効率を高められる。部品によっては最終製品として使用も可能。
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・アジリスタ…調査した3Dプリンターのうち、インクジェット方式で積層ピッチが最小の特徴を持つ製品
・Mark Two...調査した3Dプリンターのうち、繊維素材で高い強度を誇るカーボンファイバー素材を使用できる製品
・BIG PAD...調査した3Dプリンターのうち、樹脂素材で生産できる造形可能サイズが一番大きい製品品