バイク業界では、廃盤部品の入手困難や多品種少量生産の課題が長年の悩みでした。そんな悩みを解消するため、3Dプリンターを導入する企業が増えています。複雑な形状や独自デザインの部品も再現でき、小ロット生産も可能なことが3Dプリンターの強みです。ここでは、バイク業界で3Dプリンターが使われる理由と製造・カスタマイズ事例を紹介します。
バイク業界において3Dプリンターが製造やカスタマイズに活用される理由には、複雑な形状やデザインの部品を製作できることや小ロット生産が可能なことが挙げられます。3Dプリンターは従来の加工方法では難しい複雑な形状や独自デザインの部品を、自由自在に作ることが可能です。個性的なカスタムパーツの製作が容易になり、ユーザーの多様なニーズに応えられます。また、試作品や小ロット生産においては、従来よりもコストや製造期間を大幅に削減でき、量産前のテストや廃盤部品の再現にも役立ちます。必要な分だけ材料を使用するため無駄が少なく、環境負荷や材料費の削減にもつながります。
モリワキエンジニアリングは、MotoGP Moto2クラスのレーシングマシン「MD600」に3Dプリンターで造形したエアーインテークダクトを採用しています。従来は複雑な形状の部品製作に多大な手間と時間がかかっていましたが、3Dプリンター導入により短期間で試作・改良が可能となり、レース現場での迅速な対応や性能向上に役だっています。また、試作や治具製作にも活用し、開発効率とコスト削減を実現しています。

ヤマハ発動機ヨーロッパは、カスタムバイクプロジェクト「Yard Built」で3Dプリンターを活用しています。2022年型XSR900をベースに、カウル部分を発泡スチロールで成形し、3Dスキャンでデジタルデータ化、その後、3DCADで設計を調整し、3Dプリンターでパーツを製作します。独自デザインのカスタムパーツを効率的に作成できるようになり、バイクファンからはパーツ単位での製品化も期待されています。

京都市のバイクショップ「m-tech」は、3Dプリンター「Origin One」を導入し、廃盤となったバイク部品の再生・市販化に成功しました。従来は金型が必要でコストが高かった樹脂部品も、3Dプリンターにより多品種少量生産が可能となり、在庫リスクも低減しました。3Dスキャンとリバースエンジニアリングで図面がなくても部品を再現でき、2024年5月には業界初となる3Dプリンター製アフターパーツの市販を開始しました。持続可能なバイクビジネスの新しいモデルを築いています。
【目的別】商品開発・
製造を加速する
おすすめ産業用(業務用)
3Dプリンター3選を見る
外注待ちの長さ、ブレによるスピードの上げづらさ、大型・耐熱部品の作りにくさは、現場の生産性を下げます。 産業用(業務用)3Dプリンターを選ぶ際には、各課題解決に適した機能特徴を持つ製品を選ぶようにするとよいでしょう。ここでは、主な製造現場の課題別に、おすすめの製品を紹介します。


