
Stratasys F123シリーズは、UIが分かりやすく、操作性の高さが魅力となっています。ここでは、Stratasys F123シリーズの産業用(業務用)3Dプリンターの活用事例や強みなどについてまとめました。
ペットロボットを開発・製造している企業では、Stratasys F123シリーズを試作品開発に活用しています。従来のプリンターは型崩れや反りの発生が課題となっていましたが、Stratasys F123シリーズを導入によってこれらの課題も解決されています。さらに作業時間も5分の1まで短縮。試作品だけの用途に留まらず、治具の製作にも活用していきたいとしています。
反りや型崩れを抑えながら試作を評価するには、まずは干渉確認用の簡易モデルで組付けやクリアランスを確認し、次に嵌合部や穴位置など重要部だけを高精細で出力して傾向を掴んだうえで、本番形状に移行する手順が現場で運用しやすくなります。積層ピッチは0.330/0.254mmを形状確認やスピード優先、0.178/0.127mmを嵌合や外観の面品位優先、と目的別に使い分ける考え方が基本です。寸法公差や繰返し精度の公称値は参照ページ上では未掲載のため、評価片を造形して実測し、社内の要求公差と照合したうえで層ピッチ・造形方向・サポートの付け方を固定していく前提になります。
三次元測定機用治具(CMM用治具)を製造するためにStratasys F123シリーズの「F370」が活用されている事例です。®ABS熱可塑性材料を使用することにより、複雑な形状の治具製作が可能に。これによって、検査の迅速化を実現することができ、さらに労働力やコストの削減にもつながっているそうです。
CMM用治具は「位置決め面」「穴位置」「当たり面」が結果に直結しやすいため、いきなり本番を造形するのではなく、穴/ボス/段差/平面を含む評価ブロックを複数条件で造形し、測定→社内要求公差との照合→層ピッチ・造形方向・後加工の要否を判断、という流れで詰めると手戻りを減らせます。重要面は造形方向やサポート接触の影響を受けやすいので、どの面を基準にするかを決めたうえで向きとサポート条件を管理します。材料は参照ページに記載の対応材料(例:ABS等)を前提に、剛性や後加工のしやすさ、測定環境(温度変化や帯電の影響など)を踏まえて候補を絞り、最終的には評価片の実測結果と現場条件で適合性を確認する考え方が現実的です。
Stratasys F123シリーズは、価格を低めに設定されたエントリータイプの3Dプリンターです。制御用ソフトウェア「GrabCADPrint」を搭載しており、CADデータからダイレクトに3Dプリントできる操作のしやすさが特徴。
ノズルへ材料を送り込むスプールも本体前面部分に設置されているので、材料切れの際の交換も簡単。さらに、シンプルな操作性に加えてメンテナンス性も高いモデルとなっています。
精度や仕上がりの再現性を高めるには、材料・積層ピッチ・造形方向・サポートの付け方を「標準条件」として決め、評価片で傾向を確認したうえで同条件を繰り返す運用が有効です。GrabCADPrintは、同じ条件で出力を回しやすい点が運用上の利点になり、担当者が変わっても結果のばらつきを抑えやすくなります。例外的に重要部のみ高精細にする場合も、対象部位と条件をルール化しておくと判断がぶれにくくなります。
Stratasys F123シリーズは、現在F170とF370の2製品がラインナップされています。エントリーモデルながらも、F170は5つの素材、F370は8つの素材に対応。いずれも積層ピッチが4段階に切り替えができるので、素材に適した積層ピッチで3Dプリントを行うことができます。
積層ピッチ4段階(0.330/0.254/0.178/0.127mm)は、用途ごとに狙いを決めて使い分けると運用が安定します。干渉確認や形状検討は粗め(0.330/0.254mm)でスピードを優先し、嵌合や重要寸法の再現は細かめ(0.178/0.127mm)で面品位と形状再現を優先する考え方が基本です。治具の大型部は粗めで造形時間を短縮し、当たり面や穴周りなど重要部だけを細かい条件で作り込むと、評価の回転数を上げやすくなります。
また、可溶性のあるサポート材が使用でき、複雑形状の造形にも対応。この一台でツーリングやエラストマーパーツなど様々な部品製作が行えます。
可溶性サポートは複雑形状に対応しやすい一方で、除去工程や接触面の状態が寸法や表面に影響し得るため、重要面(当たり面・基準面・嵌合面)はサポートが触れない配置や向きを優先すると管理しやすくなります。除去後は、洗浄・乾燥などの後処理で状態を揃えないと測定結果がぶれやすいため、測定タイミングと手順を社内で統一する前提が重要です。溶解工程の温度や時間などの具体条件は参照ページ上では未掲載のため、運用時はメーカー推奨や社内手順に沿って管理する必要があります。
試作品や部品の3Dプリントだけに留まらず、治具や組み立て固定具、アームエンドツール、検査用の固定具などの機械工作の補助具を製作することも可能です。コンパクトな設計で幅広い素材に対応しているため、少量の造形物を短時間で製作したいというニーズに応じることができるでしょう。
※F370の場合の製品仕様です
上記の仕様一覧は、方式/積層ピッチ/対応素材/造形サイズといった「選べる条件」と「上限」を把握するための情報として整理すると読み取りやすくなります。一方で、寸法公差・繰返し精度などの数値は参照ページ上では未掲載のため、精度要求がある用途では評価片の実測を前提にし、社内の要求公差・測定方法・後処理手順とセットで判断する方針が必要です。
F370の精度は、単一の数値だけで判断するよりも、積層ピッチ・造形方向・サポート接触・後処理・材料特性の組み合わせで決まるものとして捉えると設計の手戻りを減らせます。参照ページ上で寸法公差や繰返し精度の公称値は未掲載のため、用途ごとに評価片で実測し、条件を固定していく前提になります。
積層ピッチ(0.330/0.254/0.178/0.127mm)は、面品位・形状再現と造形時間のバランスを左右するため、要求から逆算して選ぶのが基本です。造形サイズ(355×254×355mm)は一体造形の可否に直結しますが、大きいほど反りや変形の影響が出やすいため、分割設計や配置・向きの工夫も含めて判断します。材料選定は、剛性・柔軟性などの方向性が変わるため、寸法の出し方(後加工前提か、造形のみで合わせるか)とセットで検討します。
精度ニーズがある場合は、評価片(穴・ボス・段差・平面など)を造形し、測定→社内要求公差との照合→条件固定、の順で進めると判断が早くなります。造形方向は、基準面や穴軸の出方に影響しやすいため、測定で重視する面・軸を起点に「向き」をルール化しておくと再現性を担保しやすくなります。サポートは接触面の仕上がりに影響し得るため、重要面はサポート回避を優先し、避けられない場合は後処理(面出し・穴仕上げなど)まで含めて工程設計します。寸法公差・繰返し精度の公称値は参照ページ上では未掲載のため、最終判断は実測結果に基づいて社内標準(条件・測定方法・後処理・保管)として固定します。
| 材料 | 特性の要点(定量値なし) | 用途イメージ |
|---|---|---|
| ABS | 治具・試作で扱いやすい材料として検討されやすく、穴仕上げや面出しなど後加工を前提に工程設計しやすい傾向があります。 | 位置決め治具、検査固定具、組立補助具(評価片で寸法傾向を確認しやすい用途) |
| ASA | 参照ページではABSに似つつUV耐性がある材料として紹介されています。 | 屋外環境や光の影響を想定する治具・カバー類(現場条件で適合確認) |
| ABS-CF10 | 参照ページではABSのメリットとカーボンファイバーの強度を併せ持つ硬質材料として紹介されています。 | 剛性を重視する治具、たわみを抑えたい補助具(反り傾向は評価片で確認) |
| TPU 92A | 参照ページでは柔軟性の高いエラストマ系の精密パーツやプロトタイプ向けとして紹介されています。 | 保護部材、柔軟な当たり面、弾性が必要な部品試作(寸法より機能優先の場面) |
| PLA | 参照ページでは低コストで手早いコンセプト検証向けとして紹介されています。 | 形状確認、干渉確認、ラフな治具検討(まず全体像を短時間で掴む用途) |
| PC-ABS | 材料名から耐久性・耐熱性などのバランスを意識した用途で検討されることがありますが、最終的な適合は評価片の実測で確認します。 | 繰返し使用する治具、負荷がかかる補助具(測定とセットで条件固定) |
| Diran 410MF07 | 参照ページでは強靭で滑らかな低摩擦の質感が特長として紹介されています。 | 摺動を伴う治具、傷付きを避けたい当たり部、作業者が触れる補助具(表面状態を揃える運用) |
| ABS-ESD7 | 材料名から帯電対策を想定して検討されることがありますが、要求レベルは社内試験や現場条件で確認します。 | 電子部品周辺の治具、帯電影響を避けたい工程の補助具(運用条件を固定) |
積層ピッチは「面品位・形状再現」と「造形時間」のトレードオフになるため、干渉確認は粗め、嵌合や重要部は細かめ、と用途別に整理すると判断が一貫します。材料は、剛性・耐久・柔軟性や、帯電対策などの要求から候補を絞り、評価片の実測と後処理手順まで含めて条件を固定するのが現実的です。造形サイズは一体造形の可否に関わる一方で、大物ほど反り対策(分割・向き・サポート配置)の影響が大きくなるため、要求から逆算して設計と造形条件を揃える運用が重要になります。
外注待ちの長さ、ブレによるスピードの上げづらさ、大型・耐熱部品の作りにくさは、現場の生産性を下げます。 産業用(業務用)3Dプリンターを選ぶ際には、各課題解決に適した機能特徴を持つ製品を選ぶようにするとよいでしょう。ここでは、主な製造現場の課題別に、おすすめの製品を紹介します。


