ここでは、3Dプリンターでエンジンの試作を行った事例をご紹介します。3Dプリンターの導入を検討している方、活用法の見当がつかない方は、ぜひ参考にしてください。
3Dデータをもとに、どんなに複雑な立体形状でもスピーディーに作り出せる3Dプリンター。自動車や飛行機のエンジン部分には複雑な形状の部品が多く、3Dプリンターとは相性が良いと言えます。
エンジン部品の試作に3Dプリンターを活用することで、開発から製作にかかる費用の削減や製作期間の短縮、メンテナンスでの効率化といったメリットが得られます。
また、電気自動車や電動バイクが普及し、エンジンを搭載したバイク、車の補修部品や純正部品が入手しづらくなる中で、3Dプリンターによる部品の需要が高まる可能性も考えられます。
エンジン開発の現場では、試作のスピードと精度が求められます。近年は3Dプリンターの導入により、従来は時間を要していた工程が大幅に効率化され、設計の自由度や検証の質も大きく向上しています。
従来の鋳造では、まず木型を製作し、それをもとに砂型を成形するという工程が必要でした。しかし、砂型3Dプリンターを用いれば、砂型そのものをデータから直接出力できます。このため、木型製作にかかっていた数ヶ月の工程が不要となり、試作期間は数日程度まで短縮されます。また、設計変更が生じた場合でも、データを修正して再出力するだけで対応可能です。これにより、開発サイクルの高速化と試作コストの削減が同時に実現されます。
金属3Dプリンターは、ピストンやターボ部品、燃料ノズルといった高温・高圧環境にさらされる機能部品の試作に活用されています。従来の削り出しや鋳造では困難だった、部品内部の中空構造や三次元的な冷却水路を設計段階から組み込める点が大きな特徴です。これにより、軽量化と冷却性能の向上を同時に達成でき、従来工法では到達できなかった性能領域の検証が可能になります。試験段階においても、より実機に近い条件での評価が行える点がメリットです。
樹脂3Dプリンターは、エンジンルーム内での部品配置や組み付け性の検証に用いられます。吸気マニホールドやカバー類などを実物大で出力し、実車やモックアップに取り付けることで、他部品との干渉やスペースの適合性を事前に確認できます。また、配線の取り回しやボルトの締結作業のしやすさといった整備性も検証可能です。こうした工程により、高価な金属試作に進む前に問題点を洗い出せるため、設計の手戻りを最小限に抑え、開発効率の向上につながります。

ドイツの高級自動車メーカー ポルシェは、「ポルシェ911 GT2RS」のエンジンを3Dプリンターで製造しています。
3Dプリンターを使用することで、10%の軽量化に成功。さらに、従来の方法では成形できなかった冷却ダクトを設けることで、エンジンの回転数を300rpm上げ、約30psのパワーアップを実現することができました。

アメリカのパデュー大学は、大型金属3Dプリンターを使って、実物大かつ完全に動作するスクラムジェットエンジンの試作品を開発しました。
スクラムジェットエンジンとは、次世代の飛行機や、宇宙輸送機向けのエンジンとして注目されているエンジンのこと。これまではテスト用の小型エンジンしか造形できていませんでしたが、この成功により、生産速度とコスト効率の向上、経費削減などが期待されています。

高性能市販ロードレーサーとして世界的に高く評価されているホンダのカブレーシングCR110。この8速レーシングエンジン用のシリンダーを3Dプリンター技術で作成しました。
不安要素は数多くあったものの、実走行テストでは、常用1万3000rpmという高回転領域で走行。トラブルや事故もなく安定走行することができました。

ターナーモータースポーツは、2001年型と2013年型のBMW M3のエンジンを組み合わせるため、専用のエンジンマウントを開発しました。既存部品をスキャンし、ジェネレーティブデザインで最適化した形状を3Dプリンターで製作。ステアリング機構との干渉を回避しつつ、車両への適合を実現しています。
マツダは、生産終了後の部品供給を維持するため、砂型3Dプリンター(砂AM)を活用した金型レス生産に取り組んでいます。特にロータリーエンジンのローターに適用し、品質向上や軽量化を実現。金型保管の負担軽減に加え、試作リードタイム短縮やコスト削減にもつながり、開発効率の向上が期待されています。

産学官連携により、砂型造形用3Dプリンターの高速化が進み、従来の約10倍となる毎時10万cm³の造形を実現しました。ドライな砂材料の採用により後処理も簡素化されています。複雑形状の一体造形と高精度化によって、自動車部品などの量産にも対応可能となり、鋳造プロセスの革新が期待されています。
【目的別】商品開発・
製造を加速する
おすすめ産業用(業務用)
3Dプリンター3選を見る
外注待ちの長さ、ブレによるスピードの上げづらさ、大型・耐熱部品の作りにくさは、現場の生産性を下げます。 産業用(業務用)3Dプリンターを選ぶ際には、各課題解決に適した機能特徴を持つ製品を選ぶようにするとよいでしょう。ここでは、主な製造現場の課題別に、おすすめの製品を紹介します。


