
Raise3D Pro3シリーズは、前モデルの高い操作性はそのままに、緻密性や安定性、ユーザビリティが向上したモデルとなっています。ここでは、Raise3D Pro3シリーズの産業用(業務用)3Dプリンターの活用事例や強みなどについてまとめました。
栃木県にある企業では、試作品の製作のために3Dプリンターを導入。従来は金型の使用または外注によって試作品を製作していましたが、導入により試作品を自社で用意できるようになりました。これにより、成形ミスによるタイムロスが減少。生産性が高くなっただけでなく、金型が要らなくなってことでコストの削減にも繋がりました。
成形ミスが減ると、再試作や再検証が必要になる場面を抑えられる可能性があります。干渉確認→重要寸法だけを持つ評価片(穴径・ピッチ・嵌合面など)→本番形状、の順に段階を分けると、どこで誤差が出たかを切り分けやすくなります。公称の寸法公差や繰返し精度は、製品ページ上では未掲載のため、社内の要求公差に対して実測で合否判定する前提で進めるのが安全です。評価片で得た傾向を条件として固定してから本番に移すと、手戻りと材料ロスを抑えやすくなります。
大学病院での活用事例です。患者固有の病気に対応した手術計画モデルをRaise3Dのプリンターで製作。これにより、制作にかかるコストや時間を半分以下に削減しています。さらに病院内でカスタマイズ製作ができるようになったことで、患者の治療方法の改善にも貢献。導入事例では、院内でのカスタマイズ製作を行い、手術計画モデルとして活用している様子が紹介されています。
医療用途のモデルは、全体を0.01mmで造形するよりも、病変部や嵌合・接触が発生する部位など「必要な箇所だけ」を高精細にする運用が現実的です。積層ピッチは、形状の曲面再現と造形時間のバランスで使い分け、まずは粗めの設定で形状確認を行ってから、重要部位のみ条件を詰めると判断が早くなります。造形後は、基準面、穴位置、当たり面など、手術計画で参照するポイントを中心に寸法と嵌合を確認しておくと安心です。
Raise3Dは、日本で3,000台(2024年6月現在)の販売実績を誇る3Dプリンターです。中でも、Raise3D Pro3シリーズは精度の高さが魅力のモデル。最少積層ピッチが0.01㎜となっており、さらにX/Y軸±0.78micronとZ軸0.078 micronと位置決めの誤差も僅かです。複雑形状であっても緻密なプリントを実現できるでしょう。
Raise3D Pro3シリーズは、日本OFPプログラムの認証を受けたサードパーティ製フィラメントにも対応可能です。ユニチカ社の感温性TRFやExtrudr社の GreenTEC Proなど、純正フィラメント以外の素材も扱うことができます。
サードパーティ材に対応できる一方で、材料ごとに吐出・冷却・保管状態などの条件が変わるため、実運用では「材料別の標準条件」を作っておくと安定します。同じ造形データでも材料の収縮や反りの出方が異なるため、評価片で寸法傾向を確認してから量産治具や検証用部品に展開すると手戻りを減らせます。材料切替を頻繁に行う場合は、フィラメント管理(保管・乾燥・交換タイミング)も条件の一部として揃えるのが有効です。
また、エクストルーダーヘッドの軽量化によって、緻密な動きであってもブレが少なく安定してプリントが行えるよう設計されています。
デュアルヘッド運用では、仕様上の造形サイズがシングルヘッド時と異なるため、まずは必要なワークサイズがどちらの領域に収まるかを確認して使い分けると安心です。単一材で寸法を詰めたい試作や大きめの治具はシングルヘッド、サポート材や材料切替を併用したい形状はデュアルヘッド、といった切り分けがしやすくなります。デュアル時はノズル同士の干渉や、非使用側ノズルの糸引きが外観や当たり面に影響することがあるため、重要面の配置やサポート方向を事前に検討すると運用が安定します。最終的な条件は、評価片で結果を見ながら固定していく前提で進めるのが確実です。
扱える材料のバリエーションが豊富で、なおかつ緻密で安定したプリントを実現できるのがaise3D Pro3シリーズの大きな特徴。業種・業界を問わず幅広い分野で活用することができるでしょう。特に、さまざまな素材を使って、複雑な形状の試作品や部品などの製作を行いたい企業に向いているモデルと言えます。
下記の仕様一覧は、方式(FFF)、積層ピッチ、対応素材、造形サイズなど「できることの範囲」を把握するための情報です。精度検討では、まず層厚レンジと造形領域(シングル/デュアル)を前提条件として整理し、素材・向き・条件を揃えて評価します。公称の寸法公差や繰返し精度は、この一覧では未掲載のため、社内の要求公差に対して実測で判断する運用が基本になります。未掲載の項目は、評価片で確認した結果を社内条件として固定し、再現性を担保する流れにすると迷いが減ります。
Pro3シリーズは方式が熱溶解フィラメント製法(FFF方式)で、積層ピッチは0.01~0.65mmです。0.4mmノズルは0.05-0.3mmが推奨とされており、安定運用の基準として読み取れます。造形サイズはシングルヘッド造形時300×300×300㎜、デュアルヘッド造形時255×300×300㎜のため、精度要件とワークサイズに合わせて運用を切り替えます。素材はABS、PLA、合成木質、PP、PolyCast、PolySmooth、感温性TRF、GreenTEC Proなどが挙げられており、用途に応じて選定できます。
最小層厚0.01mmは高精細域の選択肢ですが、常用域は0.4mmノズルの推奨レンジである0.05-0.3mmを軸に考えると、条件出しの難易度を抑えやすくなります。層厚を細かくすると曲面や段差は改善しやすい一方、造形時間が増え、糸引きや冷却の影響が目立つ場合があります。逆に層厚を大きくすると時間は短縮しやすいものの、寸法の角部や穴の形状が粗く見えることがあるため、重要部位の要求に合わせて選びます。デュアルヘッド時は造形領域が255×300×300㎜に変わるため、同じ形状でも配置や向きの自由度が変わる点に注意が必要です。
寸法精度を評価するときは、いきなり本番形状を造形するのではなく、穴・ボス・段差・基準面などを含む評価片で傾向を把握します。次にノギスや三次元測定機など社内の測定手段で実測し、穴の縮みや外形の膨らみ、反りの出方を確認します。結果を踏まえて層厚、造形方向、材料、冷却やサポートの条件を固定し、同条件で再造形してばらつきを見ます。公称の寸法公差・繰返し精度は製品仕様として未掲載のため、要求公差に対して実測で合否を決め、社内の標準条件として文書化する運用が確実です。評価片→条件固定→本番、の順に進めるほど、再現性の判断がしやすくなります。
材料は強度や耐熱だけでなく、収縮や反りの出やすさが寸法に影響するため、精度要件と後工程(研磨・表面仕上げ・鋳造用など)から逆算して選ぶと整理しやすいです。下表は、本ページに記載の素材を対象に、特性の要点と用途イメージをまとめたものです。最終判断は評価片で寸法傾向を確認し、社内条件として固定したうえで行うのが安全です。
| 材料 | 特性の要点(定量値なし) | 用途イメージ |
|---|---|---|
| ABS | 剛性と耐熱のバランスを取りやすい一方、反り・収縮の影響が出やすいため条件の固定が重要です。 | 機能試作、治具・固定具、筐体形状の検証など。 |
| PLA | 造形の立ち上げがしやすい傾向があり、まず寸法傾向を掴む評価片づくりに向きます。 | 形状確認、フィット確認の初期試作、外観の当たり確認など。 |
| 合成木質 | 質感を重視した表現に向くため、仕上げ前提の運用と相性が良い材料です。 | 意匠確認、展示用モデル、仕上げを含む試作など。 |
| PP | 薬品や環境への耐性を意識した用途で検討されやすい一方、収縮傾向を踏まえた寸法検証が必要です。 | 薬品が触れる可能性のある部品試作、軽量部品の形状検証など。 |
| PolyCast | 後工程での鋳造を想定した運用で検討される材料のため、造形精度は「鋳造に必要な基準面・穴位置」を中心に評価します。 | 鋳造用パターン、鋳造前提の試作など。 |
| PolySmooth | 表面品質を整える後処理と組み合わせやすい素材のため、外観面と寸法面のどちらを優先するかを決めて条件を組みます。 | 外観モデル、手触りや見た目を重視する試作など。 |
| 感温性TRF | 造形後に温めて形状を変える運用が想定されるため、狙い形状への変形を前提に基準面・当たり面を設計します。 | フィット調整が必要な治具、試作後に形状合わせを行う用途など。 |
| GreenTEC Pro | 質感や用途適合を重視して選定されやすい素材のため、外観と寸法の両方を評価片で確認して条件を固定します。 | 外観確認、機能と見た目を両立した試作、治具の軽負荷用途など。 |
層厚は、表面の段差(積層痕)と造形時間を左右するため、まず要求部位だけを基準に選ぶと過剰品質になりにくいです。0.4mmノズルの推奨レンジ(0.05-0.3mm)は、吐出と冷却のバランスが取りやすい「安定運用の基準」として捉え、外観や嵌合が厳しい面だけを細かくする運用が向いています。材料は反りや収縮の傾向が違うため、同じ寸法要求でも材料ごとに条件を固定し、測定結果とセットで管理すると再現性が上がります。デュアルヘッドはサポート材や材料切替に有効ですが、造形領域が変わり、非使用側ノズルの影響も出うるため、重要面の配置と造形方向を先に決めておくと安心です。仕様値は入口で、最終的には評価片で得た実測値を社内の標準条件として運用することが、品質を安定させる近道です。
外注待ちの長さ、ブレによるスピードの上げづらさ、大型・耐熱部品の作りにくさは、現場の生産性を下げます。 産業用(業務用)3Dプリンターを選ぶ際には、各課題解決に適した機能特徴を持つ製品を選ぶようにするとよいでしょう。ここでは、主な製造現場の課題別に、おすすめの製品を紹介します。


