シート積層法は、製造業の開発・設計現場で注目されている3Dプリンティング技術のひとつです。薄いシート状の素材を一層ずつ積み重ねて立体物を造形する方式で、大型試作品の製作や複数の素材を組み合わせた造形に適しています。配線やセンサーなどのパーツを組み込みやすく、実寸大のモックアップ製作にも向いています。本記事では、シート積層法の仕組みやメリット、留意点、具体的な活用シーンについて解説します。
シート積層法(Sheet Lamination)とは、薄いシート状の素材を一枚ずつ重ねて立体物を造形する3Dプリンター技術です。
造形の工程は、まず紙や樹脂、金属などのシートを供給し、レーザーや刃物で断面形状に切り出します。接着剤や熱、超音波などで切り出したシート同士を接合しながら積層していきます。造形後は不要部分を除去し、必要に応じて切削や研磨を行って完成です。
シートを重ねる構造のため、層の間に配線やセンサーを組み込みやすい特徴を持ちます。また、素材を面として扱うことで反りが生じにくくなるため、大型モックアップや異素材を組み合わせた試作にも向いています。
代表的な技術には、紙を用いたLOMや金属箔を超音波接合するUAMなどがあります。
シート積層法は、シートを切り出して接合する方式のため、材料コストや造形工程を把握しやすい方式です。必要な材料量や作業手順が明確なので、開発初期の外形確認から機能検証まで、設計現場で計画的に対応できます。大型試作や異なる素材を組み合わせた造形にも対応できます。
ワンポイント:試作のイテレーションを高速化し、設計レビューを効率的に回せる。
シート積層法は大型試作や多素材の組み合わせに適している一方で、積層構造特有の弱点も存在します。使用目的や荷重条件を事前に整理し、設計段階で対策を組み込んでおくことが大切です。主な留意点を以下にまとめます。
ワンポイント:積層方向を考慮したトポロジー最適化で強度を最大化しましょう。
シート積層法は大判のシートを重ねていく方式のため、航空宇宙分野における大型構造物の試作や、自動車の外装・内装モックアップでの形状確認などに用いられています。複合材の積層や金属箔の接合にも向いているため、医療機器の部材検証、治具や検査ゲージの製作などの用途でも活用されています。実寸大で部品同士の干渉や組み付け状態を確認したい場面や、筐体レイアウトを短いサイクルで検討する場面に適しています。
また、造形の途中で配線やセンサーを組み込んだり中空構造を作り分けることもできます。粗形状をシート積層法で素早く造形し、仕上げは切削や他の方式で精度を高めるといった設計フローを組むこともできます。
ワンポイント:多素材ハイブリッド試作で、他方式の弱点を補完
シート積層法は、大型造形と多様な素材への対応力を生かしながら、開発初期段階での外形確認や機能検証をスムーズに進められる方式です。実寸大のモックアップを用意できれば、部品同士の干渉チェックや設計レビューが具体的になり、手戻りの削減にもつながります。
ただし、積層方向の強度差や廃材の発生は避けられないため、荷重がかかる方向を考慮した補強設計や、後加工の工程をあらかじめ組み込んでおくことが必要です。
条件が合致すれば、試作コストを抑えながら開発スピードを高め、製品競争力の向上につなげられるでしょう。
外注待ちの長さ、ブレによるスピードの上げづらさ、大型・耐熱部品の作りにくさは、現場の生産性を下げます。 産業用(業務用)3Dプリンターを選ぶ際には、各課題解決に適した機能特徴を持つ製品を選ぶようにするとよいでしょう。ここでは、主な製造現場の課題別に、おすすめの製品を紹介します。


