
Metal Xは、独自の造形方式によってリーズナブルに金属パーツを印刷することができる3Dプリンターです。ここでは、Metal Xの産業用(業務用)3Dプリンターの活用事例や強みなどについてまとめました。
1930年代のクラシックカーの破損部品を交換するために、Metal Xの3Dプリンターが活用された事例です。破損した部品はキャリブレーターで、Metal Xの17-4 PHステンレス鋼で3Dプリントを実施。破損前とほとんど変わらない品質で、出来栄えをみた依頼主も驚かれたそうです。無事車を修繕し、オーナーの元に引き渡されました。
修理部品の再現では、形状全体だけでなく、実機への取り付きに関わる箇所を優先して確認すると判断しやすくなります。今回の事例では、まずOnyxでリバースエンジニアリングしたキャブレターキャップをプリントして機能を確認し、その後にMetal Xの17-4 PHステンレス鋼で同じパーツを最終部品として造形しています。焼結後の寸法公差や繰返し精度について、公開情報では具体的な数値は示されていません。精度が重要な場合は、実機での確認や実測を前提に評価することが大切です。
切削工具を製造するメーカーで、Metal Xを使ってフライスカッターを製作しました。能力テストを実施したところ、計画通りの動作を確認。従来よりも重量を60%削減し、軽量化を実現だけでなくリードタイムの短縮やコストの削減も同時に実現。顧客に対してより付加か価値の高い製品を安価かつスピーディーに供給できるようになりました。
この事例では、まずOnyxで工具を設計・印刷し、製造に問題がないかを確認したうえで、H13工具鋼による金属製カッターのボディを造形・焼結しています。いきなり最終形状を詰めるのではなく、先に試作で成立性や動作を確認し、その後に本番形状へ進める流れとして見ることができます。重量を60%削減したことは示されていますが、寸法公差や繰返し精度の具体的な数値は公開情報に記載されていません。
金属パーツを生産のために開発された産業用3Dプリンターです。熱溶解積層方式(FFF方式)と金属粉末射出成形法を組み合わせたADAM方式(Atomic Diffusion Additive Manufacturing)を採用。直感的に操作できる設計で、機械加工のような専門的な知識や技術が無くてもステンレス鋼から純銅まで幅広い材料を3Dプリントすることができます。
ADAM方式は、金属粉末を含んだ材料をプリントし、その後の工程を経て金属部品に仕上げる方式です。公開されているのは方式、積層ピッチ、対応材料、造形サイズなどの基本仕様で、焼結収縮率や補正係数の具体数値までは示されていません。そのため、精度を重視する部品では、最終的な使用状態に近い条件で確認する前提が必要になります。
Metal Xは、安全性に配慮して設計されている点もポイントです。金属粉末を練り込んだ樹脂素材を使って造形するため、粉じん爆発のようなリスクを低減することができます。粉末を管理するシステムや専用のオペレーターを用意する必要がありません。イニシャルコストだけでなく、ランニングコストも抑えながら金属加工を行うことができるでしょう。
金属粉末をそのまま扱う方式に比べて、安全性に配慮しやすい点はMetal Xの特徴です。一方で、金属部品の仕上がりを安定して確認するには、材料だけでなく造形の向きや後工程を含めて同じ条件で見ていくことが重要になります。再現性を確かめたい場合は、評価条件をそろえたうえで比較していく進め方が適しています。
Metal Xは、金属と同レベルの耐久性をもつ造形物の3Dプリントが行えるため、最終パーツの製作に活用することができるでしょう。また、治具や金型などの製作にも活用が可能です。機械加工の技術が無くても安全性に配慮しながらパーツ製作を行うことができるため、人員コストやランニングコストの削減も期待できます。
仕様を見るときは、まず公開されている項目と、数値が公開されていない項目を分けて把握しておくと判断しやすくなります。Metal Xでは、方式、積層ピッチ、対応材料、造形サイズは確認できますが、焼結収縮率、公称公差、繰返し精度の数値は公開されていません。精度が重要な部品では、公開仕様を前提にしつつ、最終判断は実測で行う進め方が適しています。
Metal Xの公開仕様では、方式は金属FFF、積層ピッチは50~125㎛(焼結後)、造形サイズは300×220×180㎜、対応材料は17-4 PH ステンレス鋼、コッパー、H13、インコネル 625、A2、D2と整理できます。ADAM方式は、金属粉末を含んだ材料をプリントし、後工程を経て金属部品として使う前提の方式です。したがって、仕様を見る際は造形時の見え方だけでなく、焼結後の状態まで含めて判断することが大切です。
積層ピッチは、表面の見え方や細かな段差の出方を考えるうえで参考になる仕様です。ただし、金属部品の寸法を確認するときは、造形直後だけでなく、焼結後の状態まで見て判断する必要があります。焼結収縮率、公称公差、繰返し精度の数値は公開されていないため、数値前提で判断せず、実部品や評価片で確かめる進め方が安全です。
公開仕様に公称公差や繰返し精度の数値はないため、評価するときは確認したい要素を分けて試験体を作り、同じ条件で比べる進め方が考えやすくなります。たとえば、穴、段差、当たり面のように機能へ影響しやすい箇所を先に見ていくと、判断の優先順位をつけやすくなります。そのうえで、造形の向きや後工程の条件をそろえて比較すれば、再現性を確認しやすくなります。外形全体だけでなく、機能面に効く寸法から先に確認する考え方が重要です。
| 材料 | 特性の要点 | 用途イメージ |
|---|---|---|
| 17-4 PH | 機械部品や補修部品など、幅広い用途を想定しやすい材料です。 | 補修部品、治具、機構部品 |
| コッパー | 熱や電気に関わる使い方を考えるときに候補にしやすい材料です。 | 熱伝導や導電性を意識する部品 |
| H13 | 工具や型まわりのように、負荷や熱を意識する部品で選ばれやすい材料です。 | 切削工具、型まわり部品 |
| インコネル 625 | 高温環境や腐食環境を想定する部品で検討しやすい材料です。 | 耐熱性や耐食性を重視する部品 |
| A2 | 耐摩耗性を見ながら、工具や治具への適用を考えやすい材料です。 | 工具部品、治具 |
| D2 | 摩耗しやすい環境で使う工具や型部品を想定するときに候補になります。 | 耐摩耗性を重視する工具部品、型部品 |
仕様を見るときは、積層ピッチを表面の見え方や段差の出方の目安として捉え、材料は確認したい機能や使用条件に合わせて選ぶと整理しやすくなります。金属部品では、外形寸法だけを見るのではなく、取付部や穴位置、当たり面のような機能に関わる箇所を先に確認するほうが判断しやすい場合があります。焼結を踏まえた部品づくりでは、公開仕様で確認できる情報と、実測で確かめるべき情報を分けて考えることが大切です。数値が公開されていない項目は、実際の評価結果をもとに使い方を詰めていく必要があります。
外注待ちの長さ、ブレによるスピードの上げづらさ、大型・耐熱部品の作りにくさは、現場の生産性を下げます。 産業用(業務用)3Dプリンターを選ぶ際には、各課題解決に適した機能特徴を持つ製品を選ぶようにするとよいでしょう。ここでは、主な製造現場の課題別に、おすすめの製品を紹介します。


